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続・栄養素秘話千話一話
12.植物の持つ化学物質
1980年代から、栄養学で「長く」「若々しく」「美しく」生きるための研究が世界各国で求められるようになったと言われています。「カテキン」「リコピン」「イソフラボン」「スルフォラファン」など、体に良いという栄養素が話題になり、今日に至っています。植物由来の栄養素は、植物や果物に含まれている色素や苦み、エグミ、からみなどといったものです。植物は、一度その土地に根付いたら一生を終えるまで、その場所から動けません。その植物が紫外線や乾燥、湿気、暑さ、寒さなどの環境条件の他に害虫などからも身を守るために出す化学物質があります。その中でも特に抗酸化物質であるポリフェノールは、植物がその体内に水と日光と炭酸ガスで栄養を生産したときにできる、植物にはプラスにならない「酸素」を自ら放出する作用のある物質です。これらの植物の物質は、人間が摂取しても植物と同様の効果を発揮します。人は酸素を吸って、炭酸ガスを吐き出します。その結果、体が酸化していきます。例えば、空気中に鉄製品を放置すると、酸化によって、やがて赤サビでボロボロになっていきます。つまり人間もそれと同じで、老化していくのです。また、鉄製品にペンキを塗ると、酸化を防げてサビ止めになることから、鉄製品の寿命が延びます。植物由来の「ポリフェノール」を人間が摂取するのは、体にペンキを塗ることと同じで、体の酸化を抑えることができます。これが一般的にポリフェノールが抗酸化物質であると言われている理由です。老化防止に大いに役立つ、野菜や果物などの植物由来の食品を摂取することで効果があります。
11.コーカサスの健康発酵食
「腸をキレイにするコーカサスの長寿食」と言われる食品があります。「ビフィズス菌」といえばピンとくると思います。ヨーグルトです。ヨーグルトは牛乳を乳酸菌で発酵させた食品ですが、ヨーグルトを多く食べるブルガリアやトルコなどには、羊、ヤギ、水牛の乳で作ったヨーグルトもあります。ヨーグルトは腸の中のビフィズス菌を増やすのに役立ちます。ビフィズス菌は生まれた時から人の腸の中に存在していますが、年齢を重ねるごとにその数は自然と減少していきます。また、ビフィズス菌が減少していくのに比例して、悪玉菌が増えていきます。私たちはヨーグルトを食べることで、減少してしまった体の中のビフィズス菌を増やしているというわけです。ヨーグルトにはタンパク質はもちろん、ビタミンA、ビタミンB₂、カルシウム、マンガンなどのミネラルも含まれています。それらの栄養素がヨーグルトの乳酸菌の働きによって、消化吸収されやすくなっています。その結果、整腸作用や大腸ガンの予防にも効果がみられます。また、ヨーグルトは腸の中の免疫細胞にインターフェロンを増やすので、さまざまなガン細胞の発生を抑えると言われています。他にも血液の中のコレステロール値を低く保ったり、血圧を下げる作用があったり、ヨーグルトに多く含まれているマンガンやカルシウムの吸収率を上昇させるので、骨や歯、骨粗しょう症の予防や改善にも役立ちます。それから、これはトルコなどで行っている民間療法ですが、ヨーグルトを日に焼けて火照った肌に直接塗ると、肌の火照りが治まるのだとか…。
10.太陽と大腸ガンの関係
太陽から降りそそぐ紫外線といえば、肌を痛める悪役と思われがちです。皮膚ガンになるとも言われています。しかし健康に良い点もあり、最近ではそちらでも注目されています。
また冬は紫外線も弱いので、むしろ積極的に太陽に当たったほうが良いとも言われています。
ある「大腸ガン」に関する調査で、日照量の少ないヨーロッパの北欧やアメリカの北部地方、日本の東北地方や日本海側でガンでの死亡率が高かった事が報告されました。ただ、その報告をそのまま断定するには至っていません。しかしながら、考えられる可能性として、紫外線とビタミンDの関係があります。ビタミンDはUVBという物質に紫外線が当たることで、体の中に沢山のビタミンDが出来ます。これらのビタミンDがガンを抑えるのではないかという学説もあります。
別の調査報告書では、カルシウムとビタミンDを多く摂取し、太陽の光をたくさん浴びる人ほど大腸ガンにかかりにくいという結果を記しています。確かにビタミンDは、カルシウムの吸収率を高める役割があることは知られています。そのことが、ガン細胞が死ぬことにも関係しているようです。では、冬の時期にどのくらい日光に当たれば良いのか、はっきりとしたデータはありませんが、大体15分~45分の間で良いと一般的には言われています。
また食品では、ビタミンDは「きのこ類」や魚のサケなどに多く含まれる栄養素のアスタキサンチンという赤色カロチノイドが有効で、他にも野菜のゴボウや発酵食品のヨーグルトなどもおすすめです。
09.酵素の力
一頃、よく耳にした言葉に「酵素パワー」というのがありました。ふと考えて「酵素って、そもそも何者?」調べたところ文献に『自らは変化せず、他の物質の化学反応を進めるたんぱく質、これを酵素という』とありました。つまり酵素は糖質、脂質等、いろいろな物質に作用し、生き物の体の中で起きる反応の、ほとんどの部分にかかわりを持っている物質といえるのだそうです。たんぱく質を分解する、プロテアーゼは食べたものを吸収するのに役立つ、消化、分解のために働きます。また、デンプンを分解するアミラーゼ、脂肪を分解するリパーゼも酵素です。これ等の酵素はダイコンやカブに多く含まれている栄養素として存在を知られています。俗に消化酵素と一口で表現されている物質です。酵素パワーを実感できる、この季節ならではの食べ物があります。それは石焼き芋です。サツマイモは石焼きにすると、とてもおいしくて甘くなります。サツマイモをいきなり高い熱で焼くと、たんぱく質が壊れてしまいますが、石焼にして、じっくり焼くと、アミラーゼが強く働き、デンプンが程よく分解されて、おいしい甘い焼き芋ができます。こkれも酵素の働きです。実は、酒や味噌、醤油造りにも酵素が活躍しています。日本国の菌ともいわれている、コウジカビ類は、酵素そのもので『日本原産の酵素の宝庫』と呼ばれて、大切に保管されているそうです。なるほど、酵素の力はタダモノではありません。
08.糖化ダメージ
糖分の摂り過ぎから、肌の色がくすんだり、肌がたるんだりしたら「糖化ダメージ」を気にした方が良いでしょう。人から「老けた」といわれる前に対策を・・。健康を維持した持ちながら若々しい肌を保ちたいものです。体の糖化は老化でもあります。糖化ダメージをチェックしてみると良いでしょう。「スイーツが好きでよく食べる」「甘い飲料水をよく飲む」「ラーメン等の炭水化物を好んで食べている」「野菜は嫌いで食べない」等の生活習慣の人は糖化ダメージ要注意です。人は30歳を過ぎると、新陳代謝が下がり始めるので、糖分を摂り過ぎると、糖化が進みます。糖化というのは食事で取り入れたエネルギーの糖分が余って体に残り、その糖分がタンパク質と結びついて、「タンパク質糖化反応最終生成物」という老化物質を作ります。これが糖化と言われるものです。糖分過剰摂取を防ぐ効果のある食材として、玄米茶、ドクダミ茶、果物ではブルーベリー、イチゴ、野菜では緑色の濃いもの、モロヘイヤ、サニーレタス、それに発酵食品の黒豆納豆、赤ワイン等です。食べ方としては、まず最初に野菜を食べると、糖質の吸収が少なくて済み、血糖値の急な上昇は防げるといわれています。栄養素としては鉄、亜鉛、ビタミンE、ビタミンC、タンニン等で、効果が期待できます。その他、朝食を抜かないで、しっかり食べるとか、睡眠をしっかりとることも大切で、7時間くらいは眠りたいものです。タバコもできればNGとしたいものです。糖化ダメージを予防して、いつまでも若々しい美肌を保ちたいものです。
07.「しょくらとお」?エッ!
「しょくらとおは、紅毛人が持ち渡る腎薬」と1800年に長崎聞見録に記されています。つまり、紅毛人(オランダ人)が伝えた滋養強壮薬というわけです。「しょくらとお」とはチョコレートの事です。およそ4千年前のマヤ文化時代は、テオブラマ(神の食べ物)として、古代マヤ人の支配階級が強壮・強精のモノとして口にしていたと言われています。このカカオの種をすり潰して作られた「しょくらとお」のカカオを1519年に母国のスペインに持ち帰ったのが、アステカ王国を滅ぼしたと言われるコルテスです。現在のココアは、カカオビーンズを炒って圧搾して粉末にしたものです。栄養素としてはビタミンA、ビタミンB群、そしてビタミンE、等を多く含んでおり、他にカルシウム、鉄、カリウム、マグネシウムといったミネラルも豊富です。先のコルテスは、カカオを口にした人は、一日中歩き続ける事が出来ると言っています。確かにチョコレートの原料のカカオには、活性酸素を除去するポリフェノールも多く、その他、植物繊維のリグニンも含まれ、腸の中のビフィズス菌や乳酸菌にも作用し、腸の動きを整えるので便秘を防いで、余分なコレステロールも除去します。その結果、高脂血症、糖尿病やガンの予防も期待できます。さらに、体を温める効果もあるので、冷え性の人は、緑茶やコーヒーよりも、ココアを摂取した方が良いという説もあります。原料のカカオは脂肪分が多いので高脂肪食品ですが、植物性脂肪なので摂り過ぎない限り、あまり気にしないで良いでしょう。
06.美肌・スリム・女性の味方
毎日15ミリリットル摂取すると「血圧が低くなる」「コレステロールと中性脂肪が減少する」「食後の血糖値があげるのが抑えられる」「カルシウムの吸収が良くなる」「疲労を回復させる」等の効果が見られる、結構ずくめの栄養素があります。有機酸がそれです。一般に酢と言われているものですが、植物由来の酢で、前記の他にも「美肌や育毛」「アレルギー予防」「老化防止」「スリムになる」等、様々な効力が紹介されています。健康に役立つ、有機酸の醸造酢には、米黒酢、米酢、等の穀物酢と、リンゴやブドウ等を原料とした果実酢がありますが、健康効果としては、どちらも甲乙つけがたいので、自分の好みで選んだらよいでしょう。特に有機酸の中でも、柑橘系のミカン、レモン等に多く含まれているクエン酸はカルシウムを吸収する効果に優れており、骨粗鬆症の予防や改善に役立つという研究も発表されています。これはクエン酸のキレート作用で、カルシウムやマグネシウム等の各種ミネラルが吸収されやすい形に変わるからだと言われています。もう一つの酢の効用として、殺菌作用が強いという事があります。鮨や刺身、生ガキを食べる時に、中毒を防ぐ目的で、酢を使うのはそのためです。ところでその摂取量の目安ですが、大さじ1杯ぐらいで、それを毎日飲み続けることが大切です。その際、酢をそのまま生で飲むと、強い酸の力で胃に穴が開いたりするので、5倍から7倍くらいの水で薄めて飲むように気をつけることが大切です。ちなみに大さじ1杯の酢の量はおよそ15ミリリットルです。
05.大根効果は食中毒や二日酔にも
大根は「スズシロ」と呼ばれていました。「清白(すずしろ)」は「涼しい白」という意味で、これは女性の肌の美しさの例えだったとの説もあります。この時期美味しくなる大根は、コーカサス地方かあパレスチナ地方にかけてが原産のアブラナ科の植物で、わが国にはインドから中国、朝鮮半島を渡って、奈良時代の初めに伝わったとされています。当時は「おおね(大根)」と呼ばれていました。大根の栄養素効果は5つあります。葉の部分にはβカロテンやカルシウム、根にはイソチオシアネートやジアスターゼ・カタラーゼ、他にカリウム、ビタミンC等が多く含まれています。活性酸素を除去するβカロテンや抗菌作用のあるイソチオシアネート、消化を促進させるジアスターゼ、余分な塩分を排泄するカリウム、それに風邪の予防や美肌効果のあるビタミンC等、なかなか優れた食材です。その他にも、ダイコンのオキシターゼは焦げた魚にできる発がん物質のベンツピレンを分解する効果があるので、胃ガンの予防をします。更にデンプンを分解するジアスターゼやタンパク質を分解するカタラーゼ、それにビタミンC等が複合的に働くので、食中毒を防いだり、二日酔いの解消にも役に立ちます。また、かつて大根を利用した民間療法に、次のようなものがありました。咳止めや痰の除去、それに声ガレに効くという事で、すりおろした大根の汁に黒砂糖を入れて飲んだという事です。
今日では、一年中大根は売っていますが、大根の旬は今の時期なので甘みが増しています。
04.オーラルフレイルとは?
「オーラルフレイル」という言葉があります。これは口の機能が衰え、食欲の低下や栄養状態が悪くなるという意味なのです。「フレイル」とは虚弱を意味する英語が語源です。歳と共に口の周辺の筋肉が衰え「噛む力」や「飲み込む力」が弱くなって、様々な形で健康にとって、悪い結果を招きます。普段からしっかり「噛む」という習慣を意識することが大事です。では、「噛む」とどんな健康効果があるのでしょうか?
まず、消化を助けます。食べ物を噛んですり潰すので、消化が良くなり、次に、歯茎やあごの骨を丈夫にします。その結果、あごの骨や筋肉が発達して、歯並びがきれいになるという副産物も生まれたりします。更に唾液の分泌が良くなり、口の中の細菌の増殖を抑えることで、ドライマウスを抑えたりするうえ、脳の活性化にもつながります。脳の血液が増え脳細胞の発達を助ける働きをします。かつて、平安時代のにほんでは、「歯固めの儀」と言って、硬いものを食べて長寿と健康を願う風習がありました。その伝を踏まえて、スルメやタクアン、豆類など日頃から硬いものを意識して食べると良いのではないでしょうか。また、「噛む」という行為はストレスの解消にも役立つと言われています。仕事でイライラしたり、個人的理由でバタバタしたりした時、何かを噛んで食べると気持ちが落ち着いたりします。なるべく歯ごたえのある食材を選んで食べるのが、ベストですが、多少硬めの食材でカルシウムやマグネシウムを多く含んでいるチョコレートや黒砂糖、ココア、チーズを食べるのもこうかがあります。
03.オイルは骨身にしみる
健康に寿命を延ばしていくには、骨づくりが欠かせません。また、骨づくりというとカルシウムの摂取がすぐに頭に浮かびます。決してこれは間違いではありませんが、カルシウムの吸収も助けるビタミンD、カルシウムが骨に沈着するのに大きな働きをするビタミンK2、コレラの栄養素の事は広く知られるようになってきました。更にオイルをプラスしてこれらの栄養素を含む食材にかけて摂取すると、カルシウム楼の吸収率が良くなることが解ってきました。例えばビタミンDはイワシ、サンマ、それに干しシイタケに代表されるキノコ類、ビタミンK2は納豆、キャベツ、ホーレンソウ等に含まれていて、特にビタミンK2は、オイルと相性が良く油になじみやすい性質があります。このためにカルシウムの摂取量が増えれば歯や骨はもちろんの事、骨粗鬆症を防いだり、改善したり、また、骨折や運動疾患が予防できたりすることにつながります。では、どんなオイルが良いのかというと、植物由来のオイルなら何でも良いのですが、おすすめはオリーブオイルやココナッツオイルです。特にココナッツオイルは母乳にも含まれている中鎖脂肪酸が多く、肝臓で分解されると脳のエネルギーにもなると言われています。健康な骨づくりに役立つオイルですが、では適量はどのくらいなのでしょうか?調べたところによりますと、1日大さじ4杯だそうです。その他、植物性オイルには人の体をサビつかせる活性酸素を無害化する作用もあります。
02.年末年始は塩分摂り過ぎにご注意
速いもので、つい先だって正月だと思っていましたら、残すところあと4日で平成最後の大晦日。全く「光陰矢の如し」とはよく言ったものです。また、年末・年始は忘年会だ、新年会だのと言って酒を飲む機会も増えます。ここで気をつけなくてはいけないのは、飲み過ぎもさることながら、ついついツマミや料理の口に入る量もおおくなり、したがって栄養の摂り過ぎと塩分の摂り過ぎです。アルコールは体の中に入ると、胃で20%、小腸で80%吸収されて、肝臓でアルデヒドから酢酸に分解されます。この時、胃に何も入っていないと、飲んだアルコールが胃から小腸に早く移動してしまい、その結果、急激に血中濃度が上がるので悪酔いにつながる場合が出てきます。食べ物が先に入っていれば、アルコールと混ざり合って消化されるので、吸収は緩やかになります。ですからツマミや料理を口にしながら飲むのは良いのですが、問題は食べる量と塩分です。それも特に塩分。しょっぱすぎるもの・・塩辛とか、辛すぎるもの。こんなアンケートがあります。ある調査で「ツマミにどういう味のものを選びますか」と聞いたところ、36.5%の人が「塩味の利いたもの」と答えまして、中には「塩をツマミにし飲んでいる」という豪の者もいたそうです。これはアルコールには利尿作用があるので、塩味の利いたツマミを好む人が多いと言われていることにつながります。塩分摂り過ぎを防ぐミネラルのカリウムが多く含まれている、トマト、ニンジン、レタス、ジャガイモや海藻類を使ったツマミを選んで飲んでください。
01.体を温める
12月も中旬を過ぎると、肌寒さを通り越して、寒いという実感を味わう日が多くなってきます。これからは体温をいかに温かく保って冷やさないかが大切です。冬につきものの風邪は体の冷えも原因の一つです。漢方の考え方に風邪対策の一つとして体を温める働きをする陽性食品を摂取すると良いというのがあります。見た目で赤、黒、橙色した食材や水分の少ない固い食材が、陽性食品と考えられています。また他方、植物はその原産地の気候、温度、湿度に対して、そこに生育して知ったら、逃げも隠れもできません。生えている場所に対応するしかないので、寒い地方が原産地の植物が野以内に寒さに抵抗する能力の栄養を持っており、その植物の栄養素を我々人間が摂取しても植物と同じ効果があると考えられているのです。代表選手は寒いヒマラヤ高地生まれのシソ、栄養素のシソニンは体を温める作用があります。また、寒いところが産地のソバも同じ働きをします。実は塩・・これは原産地に関係なく体を温める栄養素なのです。塩は単なる調味料ではありません。塩は摂り過ぎが話題になりがちですが、それは現代人が汗をかかないので、本来汗と共に排泄されるはずの塩分が、そのまま体に溜まってしまうからです。これからの季節、体の中から温めてくれる食材を上手に摂取して、体全体の調子を整える食生活をされるといいと思います。また栄養素と併せてハーブのシナモン、レモングラスも有効ですし、食材という意味ではチーズや鶏卵も体の保温効果に役立ちます。
栄養素秘話千話一話
30. 老化のスピードは変えられます
人は全て、地球が太陽の周囲を一回りすると一様に年齢が一歳増えると考えていたならば、それは大きな間違いです。一様に歳をとるのは役所の記録上の事で、生身の老化のスピードは、個人差があって、まちまちです。老化の原因は「食べ過ぎ」「飲み過ぎ」「睡眠不足」そして「運動不足」、更に「様々なストレス」等で、この大小が個々の差となり、その個人差が老化スピードのそれぞれの違いとなってあらわれるのです。この様な生活習慣から「免疫力の低下」や「体の酸化」をすすめる結果が生まれます。特に食べ過ぎると、タンパク質に糖化物質が反応して、体の中に老化物質が出来て、甲の老化物質が増えると、皮膚がくすんだり、動脈硬化が進んだり、脳の機能が低くなったりして、万病の基となります。ですから、老化のスピードを下げるには、先に記したことの逆を行えばいいのです。全てに渡って、そうすればよいことになるわけです。そのうえで、抗酸化物質の植物に由来する、ボリフェノール類や免疫力をアップするビタミンAやビタミンC、タンパク質の代謝を活発にするピリドキシンやコバラシン、老化のスピードを遅くするミネラルのセレン等を多く含む食材をとると効果的です。ビタミンAやビタミンCは、キャベツ、セロリ、レタス、ピリドキシン、コバラシン等の栄養素は、海藻類が多く含んでいます。又、セレンは緑の野菜ならなんでも、他にシイタケやソバなどにも多く、これに加えて、若返りのビタミンと言われるビタミンEをイワシやサンマから摂取し、老化防止の栄養素と呼ばれる、セサモールを多く含むゴマを加えればなお有効です。
29. カルシウム不足は老化の原因
カルシウム不足は老化の原因
夜よく眠れないという不眠症や神経が不安定になって「イライラ」「ドキドキ」したり、落ち込んだりして、悩んでいる人が多いと言われています。特に現代社会では、様々なストレスがあって、なおのこと精神が不安定になりがちです。この原因の一つと考えられているのが、軽時住むの摂取不足です。カルシウム不足というと、すぐに骨や歯をもろくするイメージがあって、骨粗鬆症や骨折を考えてしまします。もちろんそれも大きなことですが、実はカルシウムを調整する役目の副甲状腺ホルモンが、カルシウムが不足すると、その調整作用が狂って、副甲状腺ホルモンを過剰に分泌させそのため、カルシウムが溶け出して、血管などにそのカルシウムが付着してしまい、動脈硬化や体内の各臓器の老化を促進させるおそれがあります。老化防止のためには効率よくカルシウムを体内に取り入れる必要があります。それには、ビタミンDとビタミンKを併せて摂取する事です。
ビタミンDはカルシウムの吸収を助け、多く含まれている食材としては、イワシ、サンマやキノコ類です。また、ビタミンKはカルシウムの骨への吸収を助ける栄養素のタンパク質、オステオカルシンを活性化する働きをします。多く含まれている食材としては、キャベツ、ホーレンソウ、納豆などです。日本人は一般的にカルシウムの摂取が不足しているといわれています。カルシウムはカブの葉や、ダイズ、ゴマ、ハチミツ、イワシ等に多く含まれています。カルシウムとビタミンD,ビタミンKの三栄養素を上手に摂取してください。
28. ファイトケミカル
植物由来の化学物質。これがファイトケミカルと呼ばれるものです。本や資料によってはフィトケミカルと書かれているのもありますが、このコラムではファイトケミカルで通します。「ファイト」とはギリシャ語が語源で「植物」のことです。ケミカルは将に化学物質ということです。つまり植物の化学物質というわけです。植物は一生、生えたところから動けないので、自分の力で害虫や紫外線、その他植物にとって害になるものから、身を守るために様々な物質を持っています。広く知られるカテキンとかリコピン等が、ファイトケミカルと言われる物質です。よく七色の野菜を摂取すると老化予防になると言われますが、七色の野菜にはそれぞれ代表的なファイトケミカルを含んでいます。赤のリコピンはトマトの多く、橙のゼアキサンチンはパパイヤに多く、黄色のルチンはトウモロコシ、緑色はクロロフィルでホーレンソウ、紫色はアントシアニンでナス、黒はクロロゲン酸でゴボウ、白色は硫化アリルでニンニクという具合です。これらのファイトケミカルの特色は強い抗酸化作用を持っていて、活性酸素を除去して、アンチエイジングの効果があると言われています。病気の予防作用としては、ガンの予防をはじめ血糖値を低下させる働き、視力低下を防ぎ、その他様々な生活習慣病に対する予防に役立ち、免疫力もアップすると考えられています。現在存在が解っているファイトケミカルは3000種くらいで、この先研究が進めば1万種類くらい発見出来るだろうといわれています。
27. キノコは干せば増える栄養
鍋物が恋しくなる季節が近づいてきました。鍋物の「具」に欠かせない食材にキノコがあります。認知されているキノコは、現在世界中で5000種類あり、その中で食用とされているキノコは百数十種類程で、他に薬用に使われているのを加えると、およそ300種類くらいです。日本になじみの深いシイタケは低カロリーで、食物繊維のB-Dグルカンが豊富なので、免疫力の活性化作用があり、抗がん作用のある物質としても知られています。当然、便秘にも効果があります。また、キノコ類にはカルシウムの吸収を助けるエルゴステロールが多く含まれているので「骨粗鬆症」に有効です。食物繊維を多く含んでいますが、キノコ類は担子菌類に属する微生物の「子実体」と言われるもので、いわゆる植物ではありません。
「日本書紀」や「古事記」にもキノコが登場するで、古くから食用にされていたようです。
キノコ類の中でもシイタケには、血中コレステロールを下げるエリタデニンやガン細胞の増殖を抑制するレンチサンが含まれています。また、キノコ類は、生シイタケの場合、その成分の90%は水分なので、非常に低カロリーの食材です。ダイエット効果も考えられます。こんなところからも、古代日本では不老長寿の食材として考えられていたのでしょう。更に、生シイタケを天日干しした干しシイタケは、紫外線と太陽熱の力でビタミンDが多くなります。また、民間療法ではシイタケをトロ火でじっくり煎じて熱を加えた汁を飲むと肥満症のほかに、高血圧や心臓病、生魚の中毒にも効くと言われています。
26. プロバイオティクスの働き
ほど良く食べて体に役立つ生きた菌のことをプロバイオティクスと言います。体に感染した細菌を除去する抗生物質のアンチバイオティクスに対する言葉としてできたものです。口から摂取するビフィズス菌や乳酸菌がプロビオティクスとしての働きをします。大腸では腸内細菌のバランスを整えて便秘や下痢を防ぎ、その他、消化吸収を助け、血中コレステロールの値を下げ、さらに一部のビタミンの生成に効果を示します。つまり、腸内環境の健康を保つ働きをする菌の総称です。また、別の言い方をしますと、腸の中では善玉菌と悪玉菌が、お互いに増えたり減ったりと常に争っています。その善玉菌の勢力を増やせるように摂取する菌たちがプロバイオティクスなのです。ただ、この口を通して外から体の中に入った菌達のプロバイオティクスは腸の中にとどまって住みつくのがニガテという欠点があります。ですから効果を続けるためには、毎日続けて摂取することが大切です。善玉菌のビフィズス菌や乳酸菌は自前のものが腸内で自生していますが、年齢と共に自前の善玉菌が減るために不足する分をとり続けることが必要なのです。プロバイオティクスを含む食材は、ヨーグルトやキムチ、それにヌカ漬けなどの発酵食品があります。できれば毎日一回に200グラム位の発酵食品を摂取することをお薦めします。また、納豆やチーズも腸の健康を保つ効果があります。免疫力が高くなることで、様々な病気を防ぐ事に役立ちます。
25. 秋茄子は嫁に食わすな
今は一般的ではありませんが、かつて俗に「秋ナスは嫁に喰わすな」をいう諺がありました。この意味は漢方的考え方から出たもので、中国の明の時代に書かれた「本草綱目」に『ナスは性が寒冷で多食すれば必ず、腹痛、下痢し、婦人は子宮を傷める』とあります。ナスは原産地が暖かい地方のインドなので、体を冷やす食材と言われています。つまり、「秋ナスは嫁に喰わすな」の諺の意味は『ナスは体を冷やす陰性食品なので、気温が低くなる秋に食べせると、流産の心配がある』と、いう訳です。ナスの健康に役立つ栄養素として、皮に多く含まれている紫色の色素、アントシアニンがあります。アントシアニンは老化を促進する活性酸素を除去する抗酸化物質で、血管をしなやかにして、細胞の老化を抑制する働きをします。そのほかに、免疫力を上昇させるビタミンCや、出血や潰瘍に効果があるうえに、ビタミンCの働きをサポートするビタミンPが含まれているので、高血圧や血栓症の予防や改善に役立ちます。ナスは栄養価は大したことはありませんが、江戸時代の本「本朝食鑑」にも『ナスは血を散じ痛みを止め、腫れを消し、腸をくつろげる』と書いています。更に、今でいうところの冷え性の人を頭においてでしょうか、ナスを食べる時は、味噌や塩を加えて食べると良いとも記されています。現代では塩は体を暖める効果を持つ栄養素と言われています。江戸時代は体験として知っていたのでしょう。また、ナスの紫色の色素の一つ「ナスニン」もコレステロールの値を下げ、動脈硬化を防ぐ効果も証明されています。
24. 日本人の年間消費量は6.5kg
一人当たりの年間消費量がトルコでは35Kg、一方日本では6.5Kg の食材は??
ヒントです。ブルガリアでは28.9Kg 消費しています・・・ヨーグルトです。ヨーグルトは紀元前5000年頃にバルカン半島から、中央アジアの一帯で作られ始めたというのが有力な説だそうです、ヨーグルトの語源もトルコ語の「ヨーウルト」だと言われています。ヨーグルトは便秘や下痢を改善させ、その他様々な「ガン」の予防や血圧を下げる作用がある健康食材として、広く知られていますが、乳酸菌の発酵による善玉菌が腸内のビフィズス菌を増やし、腸の中の免疫細胞を活発にするインターフェロンを増やし、様々な「ガン」の発生を抑えたり豊富に含まれているマンガンがカルシウムの吸収を良しするので、骨や歯を丈夫にし、骨粗鬆症の予防や改善に役立つと言われています。長寿国日本には、現在100歳以上の人口が5万人に迫る勢いです。「健康寿命」の掛け声のもと、介護を必要としない元気な高齢者を一人でも多く存在してもらうためにも、ヨーグルトは優れた食材の一つと言えるでしょう。かつて、フランスのパスツール研究所が、2年かけて、加齢によって生じる腸内の免疫システムや、菌のあり方をヨーグルトを摂取することで、どう変化改善するかを調査したことがあります。その結果、カルシウムや善玉菌を補給して、病的な老化の予防に効果があるという報告を出しています。ヨーグルトの摂取に加えて、老化予防に効力のあるカボチャ、ホーレンソウ、ピーナッツ、ブドウなどビタミンEを多く含んだ食材を、食生活に生かすと、より良い結果が約束されるでしょう。
23. カム、カム・・・
カムカム・エブリボディ・・・冗談を言っているのではありません。「かむ」健康効果のことです。日本では古くから「噛む」事が長生きの秘訣とされて、平安時代には、1年に2回「歯固めの日」として、硬い餅や昆布等を食べて長寿を祈る習慣がありました。しかし現代では硬いものは好まれなくて、柔らかい食べ物を求める傾向があって、以前より子供のあごの発達が少なくなっているとか。つまり俗にいうエラの張ったあごをしている子供が少なくなってきたというのでしょうか・・・
医学界でも「噛む」事は、脳の活性化につながり、認知症の予防効果も期待できると報告されています。よく「噛む」ことは、①消化を助けて、②歯茎やあごの骨を丈夫にし、③唾液の分泌を促進する、そして④席ほど紹介した脳を活性化する。というのが、その主な効果で、その他にも、②では、筋肉が発達した結果で、歯並びがきれいになったり、③では、唾液が多く分泌するので、口の中の細菌の増殖を防ぎ、ドライマウスの予防や改善に効果があり、④では脳に流れる血液が活発になり、健脳作用があります。更に「噛む」とセロトニンが脳の中で増えて緊張を和らげ、様々なストレスが緩和されて、たとえば生活習慣に起因した口内の様々な不都合が改善したりすると言われています。そのうえ、良く「噛む」という行動によって、記憶に関わる脳の「海馬」の活動が高くなり記憶力がUPすることも解っています。ですから健脳作用のある栄養素のサポニンを含んでいる少々固い食材の豆類・・ピーナッツやカシューナッツ等を良く「噛んで」食べると、口腔及び脳の健康に効果があります。
22. コーヒーカフェインの働き
死亡リスクの低い病気とコーヒーの関係が研究によってだんだんわかってきました。国立国際医療センターのデーターによると、コーヒーを良く飲む人が発症しにくいことがほぼ確実だと病気は、糖尿病と肝臓がんで、発症しにくい可能性がある病気は大腸がん、子宮体ガン等だそうです。また、国立がんセンタ―などで、全国の男女9万人を19年間、以前に追い続けたことがあり、そのデータによると、1日にコーヒーを3杯から4杯飲む人は、ほとんど飲まない人に比べ死亡リスクが24%も低かったそうです。
病気別では、世界各国28の研究結果が発表された論文で、特に糖尿病については、コーヒーを飲む量が多い人ほど、発症リスクが低い傾向があると報告されています。これはコーヒーに含まれている、クロロゲン酸という栄養素・・これはポリフェノールの一種ですが、血糖値を下げる効果がある上に、コーヒーのカフェインがエネルギーを熱で放出して、脂肪の蓄積を減らすためと考えられています。また、別の研究ではコーヒーのカフェインは記憶力の増強に効果がるようだと発表しています。様々な研究によるコーヒーの健康効果ですが、やはり飲む量は1日に3杯から4杯くらいがベストで、飲み過ぎには注意した方が良いようです。その他の糖尿病にはミネラルのクロームの摂取が効果的で、シイタケや海藻類に多く含まれています。また、魚のタイやタラには利尿作用、健脳効果もあります。あわせて硫化アリル系の栄養素を含む、玉ねぎ、ニンニク等もおすすめです。
21. 発酵食品天国
「発酵先生」を異名のある、小泉武夫先生は、「元気になりたければ豆腐入りの納豆汁が良い」とおっしゃっています。納豆も味噌汁の豆味噌も発酵食品だから健康に有効だという事でしょう。それに豆腐の原料も、納豆や豆味噌と同じ大豆ですから・・・この3種類の原料の大豆は、明治18年にウィーンで開かれた万国博覧会で、日本が大豆を出品したところ、ドイツの科学者から、その栄養の豊かさから「畑の肉」と絶賛されたほどの食材ですから・・・
一般には、一日発酵食品200グラムを目安にして、摂取し続けると良いと言われています。日本は発酵食品大国で、モンスーン気候に位置し、高温多湿な国ならではの結果といえます。先の小泉先生によると、発酵食品に不可欠な麹は「種類も麹の作り方も東南アジアやヨーロッパの国々とは違い、日本の麹は大陸から伝わったものではなく、独自に発生したものだと考えられる」そうで、それ故に「国菌」と麹菌が呼ばれているわけでしょう。
味噌、醤油はもとより、発酵食品は、全国各地に名産と呼ばれるものが、約600種類もると言われています。北海道の鮭の「メッン」から沖縄の「豆腐よう」に至るまで・・・
19世紀に細菌学者のパスツールが「発酵は微生物の力によるもの」と発表される前から人類は発酵食品を利用してきました。その起源は酒で、また世界で最も古い調味料は酢だといわれています。この栄養素の酢は、疲労回復、殺菌力、抗コレステロール、肥満予防等の健康効果が期待できます。リンゴ酢にハチミツを入れ水で薄めた飲料をお勧めします。
20. 塩は摂り過ぎも、不足も命とり
「塩」は人間の健康生活には必要な栄養素です。塩分が不足すると「食欲不振」「消化不良」「疲労」「倦怠」「嘔吐」「めまい」・・ひどくなると死につながる事もあります。
ですが現代では減塩の必要性が叫ばれています。それは、現代人、特に都会に住む人が、日頃、汗をかかない生活をしているので、摂取した塩分が体の中に留まり、結果、塩分摂り過ぎで、様々な体調不良の原因となるのです。汗をかけば、汗と一緒に体に入った塩分は排泄されるのですが・・・
そこで料理など工夫して、塩分の摂り過ぎを防ごうと言われているわけです。この考え方、取り組み方は正しい事です。日本人は1日11グラムくらいの食塩を食事から取り込んでいるというデータがあります。これを1日10グラム以下の摂取量に落とすべきだと、国の健康対策の一つとして提言しています。ある医科大学の研究では、国民平均で1日2グラムの摂取食塩を減らせば、約6%の脳卒中が減るという推定を紹介しています。
また、塩分摂り過ぎは、胃がんや心臓病も増えることが解っています。ちなみに、世界保健機構のガイドラインでは、16歳以上の人の1日の塩分摂取量は、5グラム未満が良いと推奨していますから、現代の日本人は確かに塩分摂り過ぎと言えます。
塩は料理の引き立て役でもあるので、塩の使用量を減らしてもおいしさを保てる料理作りには、植物性油利用の温かい料理にしたり、香辛料や酢を上手に使って料理するのも良いでしょう。
19. 転ばぬ先の杖
歳をとると筋肉の衰えによって、体が思うように動かせなくなる傾向の人が増えます。
つまり老化現象です。この対策として筋肉の衰えを防ぐ栄養の摂取が、各方面からアッピールされています。人は老齢化するにしたがって、筋肉の量と質が低下していきます。その結果、体が若い時の様にスムーズに動かなくなるわけです。ですから、筋肉を増やす食生活を意識して、しかも継続しておこなう必要があるわけです。
人間の体の約20%はタンパク質からできています。そのタンパク質を食事から摂取すると、消化酵素の働きでアミノ酸に分解され、そのアミノ酸が血液によって、体全体に運ばれ、その後、再びタンパク質に合成されて筋肉になります。ちなみにタンパク質はアミノ酸の集合体です。牛肉等は必須アミノ酸を中心にして、少しづつ性質の違うアミノ酸が30種類近く集まって作られていると言われています。そのアミノ酸の中でも必須アミノ酸の一つであるロイシンが筋肉を作るうえで大きな働きをすることが解っています。このロイシンを多く含んでいる食材が、牛肉や豚肉そして、牛肉や豚肉より含んでいる量は少し落ちますが鶏肉等です。また、鶏の卵にも含まれていて、老化防止に役立つと、江戸時代に書かれた「本朝食繿」で紹介されています。牛乳にも含まれていますが「ニガテ」の人はチーズが良いでしょう。また、大豆タンパク質のアミノ酸は、牛肉と同じ必須アミノ酸が含まれているので、動物の肉類と上手に取り合わせると効果的です。
18. スッパイ系の果物 クエン酸の機能効果
スッパイ系の果物。リンゴ、イチゴ、ミカン、オレンジ、レモン・・等に多く含まれている栄養素のひとつ、クエン酸に注目が集まっています。クエン酸の働きには、血圧の上昇を抑え、カルシウムの吸収を促進させるほかに、酸のスッパさが塩の味を下に強く感じさせるので、その結果、塩の使用量を減らす・・減塩効果があるという様々な事が、注目されている大きな理由です。
また、ある大学の研究によると、血圧を下げる効力もあると考えられるという発表も論文でされています。更に、別の研究では「キレート効果」に対する動物実験をしているとかです。このクエン酸のもつ「キレート効果」というのは、カルシウムやミネラルの吸収を促進するもので、その大学の研究室でマウスを使った実験では、骨密度が上昇するデータが得られたという話も伝わってきました。この結果「骨粗鬆症」を予防する可能性も考えられるちうことでしょう。また、その他クエン酸の栄養素効果として「唾液」や「胃液」の分泌を促すので、食欲の増進や胃腸機能を強める働きをします。「クエン酸」は、「リンゴ酸」や「しゅせき酸」等の、いわゆる有機酸の一種なので、この他に、活性酸素を取り除き、老化防止に役立つ抗酸化作用が期待できます。つまり、アンチエイジングに一役買う栄養素だと言えます。また、クエン酸は、若さを保つ上の美肌効果や、その他、疲労回復、二日酔いの予防・改善にも役立ちます。クエン酸を多く含んだ食材を上手に使って健康ライフを考えたいものです。
17. 暑い夏・・水分の上手は摂取方法
暑い盛り、炎天下で長時間過ごすと「のど」が渇きます。「のど」が渇けば水を飲めばよい・・・確かにそうですが、ちょっと待ってください、水分の摂取に関しての「3つの戒め」をご紹介しましょう。「1つ」キンキンに冷やした水を飲む・・・これは、胃や腸の働きが悪くなって「腹をこわす」事につながります。5度から15度くらいの温度のものが水分を腸が吸収しやすいと言われています。「2つ目」暑くて「のど」がよく渇くので、大きなペットボトルの水を一気にたくさん飲む・・・これもいけません。胃液が薄くなって、食べたものを消化するとき時間が長くなったり、あげくのハテに食欲がなくなったりするダメージが考えられます。1回に飲む量は150ミリリットルから200ミリリットル・・・コップ一杯分くらいにして、こまめに水分を摂取する事です。「3つ目」は、朝水分をとる事と、寝る前にも水を飲むことです。寝ている時、案外汗をかきますから、寝る前、そして朝起きてすぐ水を飲むことが大事なのです。平均的な大人は、普通1日に体重1キロ当たり、15ミリリットルの汗をかくと言われています。また、人は体に水を飲み貯める事が出来ない体質なので「コマメ」に水分を補給することが必要なのです。「のど」の渇きには、スイカやメロン等がおすすめです。スイカにはビタミンB群やビタミンC、リンゴ酸、アミノ酸の一種、アルギニンも含まれていますが、その90%は水分なので効果的です。また、メロンはベーターカロテンやカリウム等が多く含まれているので、熱を下げる効果や暑気払いには良い食材です。
16. メタボリック症候群
「肥満は万病の基」と言う諺があります。国連のある国際機関の調査によると、推計で2014年には世界中で肥満及び体重超過とみられる人は約21憶人にのぼると発表しています。現在、地球上の総人口がおよそ70憶人と言われていますから、四分の一近い人達が食べ過ぎているというわけです。同じ研究機関が1980年に発表した推計では、約8憶6000万人でしたから、その時代に比べて13億4000万人も増えた事になります。メタボリックシンドロームという言葉を良く耳にしますが、体重超過体形は将にそれの黄色信号とも言えるでしょう。その結果、高血圧、糖尿病、心筋梗塞、脂質異常・・等、不都合な事がやがて起こる前触れと考えられ、その異常が三つ以上重なると、メタボリックシンドロームという事になるそうです。この「メタボリックシンドローム」対策には、俗に「食事と運動」の連動と言われています。運動で言えば「3000歩」歩くと約100.キロカロリーのエネルギーを消費しますからそれを目安にして運動し、食事面では、40歳以上の男性で、あまり運動しない男性は、1日の必要カロリーはおよそ2000キロカロリー、女性の場合は約1800キロカロリーを基準にすれば良いでしょう。肥満解消に効果のある栄養素としてはカリウムやイソクエルシトリン等の利尿作用のある栄養素を含む、キューリやバナナ、さらに食物繊維が豊富なゴボウやキノコ類・・・また、ソバに含まれているコリンが体脂肪の増加を抑える作用があり、魚の鮭に見られる赤い色素のアスタキサンチンという栄養素もメタボ対策に有効です。
15. 酢の健康効果
「1日15ミリグラム」の「酢」を摂取すると、次の様な健康効果があると言われています。第一に「内臓脂肪の減少」、第二に「血圧の低下」、第三に「コレステロールと中性脂肪の減少」、第四に「食後の血糖値の上昇抑制」、第五に「疲労回復の手助け」・・と様々な効果があります。とりわけ第五の「疲労回復効果」というのは、ヒトのエネルギーの基となるグリコーゲンの「再補充」する働きと共に、疲労物質と言われる「乳酸」を分解するので「疲労回復」に役立つというわけです。ところで「15ミリグラム」の目安はどのくらいかというと、大さじ一杯分です。でも酢はそのまま飲むと、酸の力で胃に穴が開いたりしますので、大さじ一杯分をおよそ5倍の水で薄めて飲むと良いでしょう。毎日、飲み続ける効果として、先に記しました様々な健康効果と共に、強い殺菌作用があるので、食中毒なども防ぎます。又、「酢」には20種類以上のアミノ酸が多く含まれていて、そのうちの7種類のアミノ酸は「抗肥満アミノ酸」と言われ、「肥満」を防ぎます。これがスリムな体形づくりに効果があると言われる「ゆえん」です。
糖分と酢の関係にも深いものがあります。「酢」と一緒に「糖分」を摂取すると、ガンや高血圧を防ぐ効果があるという研究発表がアメリカでされた事があります。その研究のキッカケになったのは、アメリカのバーモント地方では長寿の人が多く、その人達が、「リンゴ酸とハチミツを小さじ二杯ずつコップに入れて、水に溶かしたもの」を日常的に飲んでいた健康法だったそうです。
14. サンショは小粒でも夏バテ知らず
「ジャパニーズ・ペッパー」この英語で語られる食材は何だと思いますか?日本を代表する香辛料の「サンショウ」の事なのです。この「サンショウ」の記録が初めて登場するのは、室町時代に記された料理本で・・・「うなぎのかば焼き」に「サンショウ」を薬味として付けたと書かれているそうです。「サンショウ」独特の「ピリリ」と辛い味と、さわやかな香りは「実」はもとより「葉」や「茎」にも多く含まれています。特に「実」の部分に多く含まれている辛み成分は「サンショオール」と呼ばれる栄養素です。その昔「サンショウ」は全国に自生していたミカン科の低木がルーツで、さわやかな香りがするのはミカン科の木だからです。また、この「サンショウ」は漢方薬の材料の一つとしても使われており「冷え性」や「腹痛」に辛み成分が効果を発揮すると言われています。そして、香り成分の「アルファビネン」は気分を落ち着かせ「ヘキセノール」の青い香りや、かんきつ系の香りの「シトロネロール」は、気分をさわやかにする働きがあります。更にスリつぶした「サンショウの実」を摂取すると、「夏バテ」対策になる事も解ってきました。辛味成分が胃を刺激し、香り成分が気分をさわやかにすることによって、食欲が増すからだと考えられています。ところで夏バテに有効な栄養素と言えば「ビタミンA」です。ウナギ、アナゴ、ハモなどが多く含んでいる食材です。その他ベータカロテンを含むピーマンや、スイカに含まれている「シトリン」等の栄養素が効果的だと言えます。
13. 乳酸菌は優れもの
ヒトの体の内外には、微生物が集団で棲みつき、その数およそ1000兆個の常在菌が居ると言われています。ヒトの細胞の数は約60兆個といいますから、その10倍以上もヒトの体に微生物の善玉菌と悪玉菌が棲みついているわけです。その中で、ヒトと共に生きる「常在菌」と言われる微生物の菌は、数百種類で、腸の中に多く存在しています。「顕微鏡」で見ると、善玉菌と呼ばれる細菌の群れが、あたかも花園の様に見える事から「腸内フローラ」と呼ばれています。又、善玉菌は、小腸では免疫力を上げる効果があり、大腸では腸の中の細菌のバランスを整えて、便秘や下痢を防ぐ働きをします。その他に食べたものの消化や吸収を助け、血の中のコレステロール値を下げる作用もします。去れに善玉菌は、摂取した食物から栄養素を作り出したり、ヒトの体では作る事の出来ない、ある種のビタミン群を合成することも解ってきました。又、ヒトを様々な感染症から守り、ガンをはじめ多くの病気を防ぐのに役立っています。
一方、悪玉菌は、発ガン物質を刺激したり、様々な腸の病気に深くかかわります。腸の健康状態を知る一つのヒントがあります。体内から放出するガスが「クサッタ、ユデ卵」の様な鼻の曲がりそうな悪臭がしたら、要注意です。これは悪玉菌の仕業ですから・・・健康に役立つ善玉菌を増やすには発酵食品が有効です。乳酸菌効果のあるヨーグルトか、白菜やキューリのキムチ、他に大根、ナス等のヌカ漬け等を1日およそ200グラムを目標にして、食生活に取り入れると良いと言われています。
12. 腹八分目に医者いらず
「腹八分目に医者いらず。腹12分目に医者足らず」・・・又、エジプトの諺に「人は働いて稼いだ金の3分の1で食べている。残りの3分の2の金は、医者が食べている」・・・というのがあります。共に「現代人食べ過ぎて、その結果、病気になる人が多い」と、言っているわけです。特に近頃は「糖ストレス」が話題で、「糖」の摂り過ぎが原因で、動脈硬化や、脳の働きの低下による体調不良を訴える人が増えています。食べ過ぎは「万病のもと」とかで、かつて「WHO」なる国連の機関が、全地球人口のうち25億人が食べ過ぎていると発表した事があります。現在地球上にはおよそ70憶人が生活していると言われ、その約3分の1が食べ過ぎだというわけです。その様な背景もあって、近頃健康の為に「糖質制限」が大切だと専門家の間から声が上がっています。特に「血糖値」が大幅に上昇する様な、食物の摂取の仕方は気をつけなくてはいけません。更に・・・健康を保つ為に・・・又、「血糖値」を上昇させない為に・・・その食材として、緑色の濃い野菜が注目されています。中でも「モロヘイヤ」「サニーレタス」「ローズマリー」等がリストアップされており、その他、発酵食品の「赤ワイン」「黒豆納豆」「しょう油」も効果がある食材です。栄養素のHDLコレステロール、ビタミンB群、リジン等の働きによるものと考えられています。日本人は健康な状態でいられる「健康寿命」が、いわゆる「平均寿命」より、10年近く短いというデーターもあります。この状態を逆転させる為にも、「腹一杯三度三度食べる習慣」をあらためて「粗食・少食・腹八分目」の食生活が必要だと、私は個人的に考えています。
11. ホルモンの分泌には4楽にあり
ホルモンの分泌を良くするには「食べる」「運動する」「話す」「眠る」・・・を、楽しい心を持って生活する事だと言います。つまり、身も心もリラックスして、楽しいと思う時に、良いホルモンが多量に分泌されると考えられるからです。ホルモンの分泌が良くなると、「心の病」や「ガン」や「認知症」の予防に効果があるのではと、日本内分泌学会では内分泌・・・特にホルモンの健康に対する効果、役割について研究を推めているそうです。「楽しく食べる」と、グレリンが分泌されて、細胞のミトコンドリアを増やして、細胞を強くし…「楽しい運動」をすると、ホルモンの「ナトリウム利尿ペプチド」が分泌されて、血圧や血糖値が下がり・・・「楽しく話す」事で、親しい人と一緒に生きていると感じ、愛情を司るホルモンのオキシトンが、脳下垂体から分泌され、又、「部屋を暗くして眠る」事で、脳の松果体から活情酸素を除くメラトニンが分泌される・・・という訳です。又、最近の研究結果で、精神的刺激として「どきどきする様な状態に自分の心を追い込む」・・・つまり、「勝負事」に挑戦したり、「グチを思い切り言ってみたり」・・・一人言でも良いから・・・又、「困った事はあまり深く考えない」様にするとか・・・「自分をほめる時間を作り、予定の日を決める」とかしても、ホルモンの分泌を促進する事が解ってきました・・・栄養学の方では、甲状腺ホルモンの原料となるヨードを摂取する事で、ホルモンの分泌を活発化させて、貧血や知的障害などの予防にも効果が見られるという研究発表もあります。有効な食材としては、海藻類や、ホーレンソウ、ダイズ・・・貝の仲間のカキ等々・・・です。
10. あなたは1日コーヒーを何杯飲みますか
「あなたは1日コーヒーを何杯飲みますか?」とのアンケートの結果、多くの人が、1日1杯から2杯と答えたそうです。かつて、「コーヒーと健康」について話題になった事があります。カフェインの摂り過ぎが良くないと言う理由で・・・事実、「重い心臓病」のある人や「妊娠中」の婦人・・・及び「腎不全」を患っている方は、飲み過ぎない方が良いと言われています。他方で、コーヒーを良く飲む人は「糖尿病」や「肝臓ガン」の発症が抑えられ又、大腸ガンや子宮体ガンも発症しにくくなる可能性もあるそうです。これは国立ガンセンターなどの研究チームが、全国の男女、約9万人余の生活習慣を19年間に渡って追跡し、病気との関係を調べる「コホート研究」で、1日コーヒーを、3杯から4杯飲む人は、ほとんど飲まない人に比べて、ガンで死亡するリスクが24%程低かったという結果が出ています。又、糖尿病に関しては、世界各国の28の研究結果をまとめた発表で、コーヒーを飲む量が多い人程、発症するリスクが低い傾向にあるという報告が出ています。コーヒーに多く含まれているクロロゲン酸やカフェイン効果と考えられています。又、クロロゲン酸やカフェインは豆を焙煎する時間が長くなる程、少なくなるので、深煎りではなく、浅煎りの方が栄養素を効率良く摂取できるそうです。又、最近の研究ではコーヒーのカフェインが脳の神経細胞を刺激して、記憶を高める効果があるのでは・・・と、その可能性が取沙汰されています。
09. 紫外線は、はたして悪者でしょうか
「紫外線は、はたして悪者でしょうか・・・」
ひと頃、太陽からの紫外線は、肌にシワが出来るとか、皮ふガンに成る恐れが有る等と、悪者扱いされていましたが、近頃では、むしろ健康に良い部分の方が多いという見方がされている様です。確かに紫外線は皮ふガンの一つの原因である事は実証されています・・・が・・世界各地のガンによる死亡率を調査した結果、皮ふガン及び他の複数のガン死亡率が、日商の多い地域ほど低い傾向があり「健康にとって太陽の日を浴びるのは害より、長所の方が多い・・・」と、ヨーロッパの研究チームが発表しています。又、その研究チームは「カルシウムとビタミンDを良く摂取する人は、大腸ガンにかかりにくい」というデーターもあるとかで・・・確かに、ビタミンDはカルシウムの吸収を良くする事は知られていますが、ビタミンDの効果で、ガン細胞が死ぬことも関係しているかも知れません。カルシウムの効果をより良くするには、ビタミンDの摂取と、日光浴をする事だと考えられますが、夏の場合、日本では週に2回から3回、5分から10分太陽に当たれば良いし、冬でも15分から45分程度で良いので、とりわけて意識して、日光浴する必要は無いとのことです。又、紫外線のうちのUVBという物質が肌に当たると、体の中でビタミンDが多量にしかも、活発に作用して、このビタミンDが、ガンを抑える・・・と言う学説があります。で、ビタミンDを多く含んでいる食材はシイタケ等キノコ類や、サンマ、イワシ、サケ等で・・・ミネラルのカルシウムを摂取するのに効果のある食材は、カブ、ニンジン、ダイズ、ココア、ヨーグルト等々・・・です。
08. 味わい深い「発酵」の世界
2013年に「無形文化遺産」に登録された「和食」に欠かせないのが「発酵食品」です。日本酒、味噌、醤油、漬物等々、日本は発酵食品大国ともいえます。
発酵を助ける微生物はカビ、酵母菌、細菌などですが、中でも、日本のカビで代表的な麹菌は和食には欠かせない食材の基となっています。
発酵は微生物の作用で、食材のアミノ酸等の有機物が分解されて、新しい物質が生成されます。例えば、納豆のナットウキナーゼは、大豆に無い物質が生成された結果です。また、ヨーグルトは、腸の中の免疫細胞に働きかけて、インターフェロンを増やし、様々ながんの発生を抑えることも研究の結果解ってきました。発酵食品研究の第一人者といわれる小泉武夫先生は、発酵食品の優れているところとして、「栄養成分が高くなるうえに、保存に大きな効果を持ち、味わいが深く、風味が豊かになることです」と言われています。
発酵食品の起源は、酒だと考えられています。メソポタミア文明では、ワインが造られており、日本では縄文時代に果実から酒が造られていたと思われています。細菌学者として知られるパスツールが19世紀に「発酵は、微生物によって行われる」と発表する以前から、人類は経験を通じて発酵を利用してきたというわけです。
07. 鉄分はほどほどに・・必要な栄養素
足りなくても困るし、多すぎても困るという栄養素があります。それはミネラルの鉄分です。足りなくて困るのは貧血気味の人で、摂り過ぎていけないのは肝臓に病気を持つ・・、例えば肝炎を患っている人です。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」によると、18歳から69歳の男性では、1日7.5ミリグラムで、同じ年齢の女性では、10.5ミリグラムの鉄分摂取を推奨しています。鉄分が足りなくなると、赤血球に含まれているヘモグロビンが不足して、動悸や息切れが起きたりします。ヘモグロビンの働きは、体中に酸素を送る役目ですから、足りなくなると、体が酸素不足になり、疲れやすくなって貧血症につながっていきます。では、どの様な状態が貧血の目安かと言うと、血液1リットル中のヘモグロビンの値が、12グラムくらいと考えられていて、12グラムより少ない人は女性の場合、20代から40代で25%・・つまり4人に一人が貧血気味だというわけです。貧血を防ぐ動物性の食材としては、レバーや赤身の肉や魚・貝類、植物性では豆類やホーレンソウ、セロリなどセリ科の野菜、植物性の食材の場合は併せてビタミンCを摂取すると有効です。
ところで、鉄分を摂り過ぎると慢性のC型肝炎には何故いけないのかというと、鉄分を摂り過ぎると、肝臓を酸化させてサビつかせるからです。腸で吸収された鉄分が肝臓にたまり、細胞やDNAを傷つけてしまいます。もし鉄欠乏性貧血になった場合は医師の診断を受けてください。
06. 太陽の恵み・風の贈り物
白い生の大根は、そのまま食べると体を冷やす食材ですが、切り干し大根として天日干しすると体を暖める食材に変わります。漢方ではこの様に考えられていますが、あながち間違っているとは言えないのです。干し柿も、大根と同じで、これが「太陽の恵みと風の贈り物」の由来です。干して太陽の熱を受け、風にさらされることで、水分が失われ食材の性質が変わるからです。2015年の日本食品標準成分表では、100グラムに含まれる量として、生の大根はカリウムの含有量が230ミリグラムで、干すと3,500ミリグラム、鉄分は0.2ミリグラムが3.1ミリグラム、生の柿はカリウムが170ミリグラムなのに、干し柿では670ミリグラム、ベータカロテンは0.42ミリグラムが3.1ミリグラムと、干すと大幅に増加しています。めた、便秘を防ぐ効果のある食物繊維は生より干すと9倍近く多くなります。
切り干し大根は、生の大根よりカルシウムが20倍も増え、食物繊維のリグニンが様々ながん細胞の発生を抑制することもわかっています。
干し柿は太陽の熱を十分に含んだ食材に変化するので、滋養強壮に役立つようになります。
その他、低カロリーで知られているキノコ類も干すことで免疫力を高める効果が増加すると言われています。なかでも干しシイタケにはビタミンB1・B2やカリウムが多く含まれていますが、特にシイタケ特有の成分でエリタデニンという栄養素は、血液の中のコレステロールの値を下げる働きをしますし、レンチナンという物質はがん細胞の増殖を抑える効果があります。
05. お茶の万病効果
日常茶飯事という言葉があります。日本人は昔からお茶を飲んできましたが、このお茶の健康効果が注目を浴びて久しくなります。お茶の研究に長年たずさわってこられた伊勢村護先生はお茶の効果について、カテキン類は抗がん、抗アレルギー、抗動脈硬化、抗酸化・・、カフェイン類は利尿、抗喘息等このほか様々な効果があると発表されています。
また、別の研究ではお茶のカフェインが記憶力の増強に効くのでは、という仮説を立てています。漢方では、お茶の効能について「緑茶は血を清め、尿を通じ、食欲を増し、疲れを癒し、心身を爽快する」と、その効果を記しています。更にお茶にはビタミンCが多く含まれているので、風邪の予防や美肌効果もあります。その他、緑茶には殺菌力もあるので、胃がんや胃潰瘍を起こすピロリ菌を除去すし、病気の発生を防ぎます。この様に結構ずくめの緑茶ですが、原産地が南方のインドなので、栄養素はもとより食材として、体を冷やす性質があります。つまり、寒い地方が原産地だと体を暖め、逆に暖かい地方が原産地だと体を冷やす作用があるという漢方の考え方です。ですから、関節痛やリウマチの人は緑茶より紅茶を飲んだ方が良いのです。紅茶は緑茶を発酵させたもので、発酵によってカテキンがエピガロカテキンに変化し体を暖める作用をする栄養素の食材になったためです。また、近年の研究では、緑茶は「C型慢性肝炎」や「内臓脂肪症候群つまりメタボリックシンドローム」の改善効果もあると言われています。体調に合わせてお茶を利用して、健康で暮らしたいものです。
04. 体の調子を整える栄養素タウリン
イカを干したスルメの白い粉は、タウリンそのものです。ですからスルメを食べる時は、この白い粉を叩いて捨てないでそのまま食べてください。「タウリンは体全体の機能を整える潤滑油のような働きをする」と、栄養科学の専門家、横越英雄先生は述べられています。
タウリンの効果としては、アルコール中毒を抑える、血液中のコレステロールを低くする、肝臓を守る、強心作用がある・・その他にも、目の角膜や網膜の機能を保持し保護する等々、幅広く有効な働きをします。タウリンはアミノ酸の一種とも、アミノ酸に化学構造の似ている物質ともいわれて、人間の体のいたるところに含まれています。中でも特に、心臓、筋肉、肝臓に多く存在していると指摘されています。その割合は、体重の0.1%で、つまり体重70Kgの人だと70グラム程になる計算です。タウリンは食材を食べることで、私たち人間の体の中で作ることができる栄養素です。このタウリンを効率よく摂取するのに適した食材に、魚介類があります。貝類では、海のミルクと呼ばれている「カキ」には100グラムあたりに1,178ミリグラムから1,022ミリグラム、タコでは100グラム中に593ミリグラムから520ミリグラムと、資料によって多少の幅がありますが、それでも多く含まれています。そのほかトコブシ、ホタテ、魚ではカツオ、マダイ等に多く含まれています。タウリンは母乳の出を良くし、母乳にも多く含まれているので、母乳で赤ちゃんを育てているお母さんは、カツオのそれもチアイ部分を食べると効果があります。
03. アンチエイジングって、老化防止の事ですか?
ニュアンスはそうです。朝、鏡を見てなんとなく『顔が老けてきたみたい』と思ったら要注意です。その時、この1週間何を多く食べてきたかを考えてみましょう。ファストフードで食事を済まし、清涼飲料水をガブ飲みして、油で揚げたものや、焼いて焦げ目のついたオカズを食べ過ぎていなかったか・・・。このような食事を続けていると、老化のスピードがアップします。その原因となる物質が「AGE」を呼ばれるものです。つまり『顔が老けてきた』のは、そのせいかもしれないのです。「AGE」はたんぱく質に糖分がからみ、それに熱が加わるとできるものです。
『終末糖化産物』とも呼ばれていて、「AGE」が体に多く溜まると、肌のしわやシミが増えます・・が、見た目だけでは無く、体の中でも老化が進んでいると言われています。注意すべきは糖尿です。「AGE」は高血糖が続くと、蓄積されて糖尿病になるリスクも高くなると、大学の教授も指摘しています。更にその先生は「糖尿病だと、がんや認知症になるリスクも高まります」ので、「AGE」をためない生活が長生きで、健康を保つことにつながる」と言われています。
「AGE」を増やさない食事法として、野菜を先に食べるとか、単品の丼ものはなるべく避ける事だそうです。「AGE」の増加を防ぐ栄養素としてグルコキニンがあります。玉ねぎやニンニクに多く含まれていて、血統を下げるのに有効です。またミネラルのセレンやマンガンも良いです。緑葉野菜や海藻類それに、老化防止に効力のあるビタミンE、ビタミン6等、レパーや大豆、ココア、イワシといった食材を多く摂取することをお勧めします。
02. 抗酸化物質で老化を防ぎましょう
イメージしてください。鉄製品をそのまま空気中に放っておくと、酸素に触れて赤サビが生じて、最後はボロボロになってしまいます。
人間は酸素を吸って、炭酸ガスを吐き出しています。つまり人間の体は、空気中の鉄と同じ状態でサビ続けていき、それを一般的に老化現象と表現しているのです。その状態を防ぐ効果があるのが抗酸化物質と言われる栄養素です。
抗酸化物質は全ての植物に多少の変化はありますが存在しています。植物は二酸化炭素を吸収し水と太陽の光で養分を作り生命を保っています。その光合成の時にできる酸素が植物にとっては邪魔者なので、抗酸化物質が働き、植物から酸素を追い出しているのです。この抗酸化物質は、人間に摂取されても、植物に作用するのと同じ働きをします。ですから老化防止に役立つのです。
つまり、抗酸化物質は、活性酸素を除去するというわけです。
この数多くある抗酸化物質の中で、その効果が極めてあると言われている一つがゴマです。
ゴマに含まれている物質のゴマリグナンは栄養素の団体と言えるもので、セサミンとかセサモリン、セサモール、セサミノール等が含まれています。中でもセサモールは「老化防止の栄養素」と言われるほどの強い抗酸化作用を持つことが解ってきました。老化防止のためには、1日中サジ1杯分のゴマを毎日長く食べるのが良いでしょう。それに加えて「若返りのビタミン」と言われるホーレンソウやアボカドに多く含まれているビタミンEと、ホルモンの原料となるヨードや、イワシ等に含まれるレチノール、更にイチゴ等に含まれているミネラルの鉄分を摂取し続ければ、永遠の若さを保てるかもしれません。
01. 生活習慣秒の予防に役立つ上手な酢の取り方
1日大さじ1杯の酢を、毎日続けて飲むと健康を保ち続けるのに効果的だとか・・
ミツカングループで本社中央研究所の研究結果です。酢の健康効果として「血圧を下げる」があります。これは体内に摂取された酢が、消化吸収されるプロセスでアデノシンという物質ができます。このアデノシンに血管を拡げる作用があり、その結果、血圧を下げるのだと考えられています。その他に「肥満防止」「中性脂肪・ゴレステロールの減少」「カルシウムの吸収を良くする」等の幅広い健康効果が知られています。アメリカのバーモントという所はリンゴの産地で、その地方では健康で長寿な人が多く、がんや高血圧、心臓病、糖尿病などのいわゆる「生活習慣病」の人が少ないそうです。それは、『リンゴ酢にハチミツを入れて、水に溶かして飲む』という習慣があり、毎日「ハチミツ入りアップルビネガー」を飲む人達が多いからなのだとか・・・。また、酢は疲労物質の乳酸を分解して、疲労回復にも大きく役立ちます。一般に売られている「酢」は、醸造酢で「果実酢」「穀物酢」の二種類がメインと言われていますが、その健康効果はほとんど同じだそうです。更に酢は、中性脂肪を減少させる効果もあります。これは一説によると、酢が脂質の生成を抑えて、そのうえ、脂質の燃焼を促進させるためだと考えられます。酢には20種類以上のアミノ酸が含まれていて、そのうちの7種類は抗肥満アミノ酸で、肥満を防ぎコレステロールを低下させ、脂肪肝を防ぐ働きがあります。
「1日大さじ1杯の酢を5倍の水で薄めて飲むと良い」と言われています。
00. リンゴポリフェノールの健康効果
北欧の神話に、神々が「永遠の青春リンゴ」を食べて不老長寿を保っていいたという伝説があります。ポリフェノールという物質は、植物に含まれている抗酸化作用をするものです。
いま、そのポリフェノールが注目されています。
ポリフェノールは植物に強い光が当たったり、乾燥が続いたりして、植物がストレスに包まれたりしたときに、植物の中に植物にとって有害な活性酸素ができます。その活性酸素を除くために植物が持っている物質がポリフェノールです。このポリフェノールは人間の活性酸素も取り除く効果もあって、細胞の代謝を助けて、老化を防ぐのに役立つといわれています。
イギリスの諺に『1日1個のリンゴは医者を遠ざける』というのがあります。このコーカサス原産のバラ科のリンゴには、ポリフェノールのうち、プロシアニジン類が6割近く含まれているうえに、リンゴにはビタミンA、B群、クエン酸等の有機酸の他、様々なミネラルもバランスよく含まれています。また「リンゴを食べる産地の人達には、高血圧症が少ない」という農研機構果樹園研究所の研究結果もあります。それによりますと、血液中のコレステロール値が、リンゴをあまり食べない人と比べて低かったそうです。更に、リンゴに含まれている、有機酸の一種のリンゴ酸は、様々な炎症を止める作用があるので、気管支炎や肝炎等の予防にも役立つと言われています。更に、腸の中の善玉菌を増やすオリゴ糖なども含まれているので、いろいろな病気の予防効果がある事がしられています。
ヨーロッパのスイスにはリンゴセラピーをいって、自然療法で病気を治す病院もあるとかで、このリンゴのポリフェノールには、がんやアレルギー等、様々な病気の予防が期待されています。