ティーボール入門
日本式ティーボールとは
ティーボールは、投手のいない野球であり、ソフトボールである。ティーボールが野球やソフトボールと大きく異るところは、本塁プレートの後方に置いたバッティングティーにボールを載せ、その止まったボールを打者が打って試合が始まることである。
このゲームは、元々1988年に、IBA(国際野球連盟)とISF(国際ソフトボール連盟)が協力して、野球やソフトボールの入門期の子供たちのために「アメリカ式Teeball」として考案されたものである。
それを受けて、現在、アメリカやカナダの子供達の間で加速度的に普及している。
オーストラリアやニュージーランドの子供達の間でも、1979年以来、柔らかいボールを用いた独自のティーボールとして広く全土に普及している。
一方、我が国では、1981年に発足した「大学スローピッチソフトボール研究会(吉村正会長)」が中心となって「いつでも、どこでも、誰でも、楽しくプレーできる野球・ソフトボール」の研究と実践を開始した。この研究会は、「国民皆ベース・ボール」を目標にして、「日本式ティーボール」を1993年に完成させ、「日本ティーボール協会(会長海部俊樹・筆頭副会長吉村正)」を発足させた。
以上が「日本式ティーボール」の中心となるルール(競技方法)と遊び方である。
競技の方法と遊び方
ティーボールは、少人数でも大勢でも楽しめるボールゲームである。
全国大会や地区大会などでは、日本ティーボール協会が制定した「公式規則」に則ってプレーし、少人数で楽しむときは、そのときに集まった人数、性差、年齢、グラウンド(体育館)の広さ、技術差、用具の質と数を考慮したルールのもとで、プレーすることが大切である。
ここでは、ティーボールの「公式規則」に則った競技の方法と少人数で楽しむための方法を紹介する。
1.施設と用具
(1)施設と用具
①施設・使用球・使用バット・対象者
場所:室内・屋外
使用球
塁間
外野フェンス
までの距離
対象
グラブ
インドアティーボール
5~10m
無
幼児・小学生低学年
不要
使用球
塁間
外野フェンス
までの距離
対象
グラブ
11・12ティーインチボール
10~14m
40m以上
小学生・中学生・高校生以上女子
使用可
屋外(運動場、サッカー場、野球場、その他)
使用球
塁間
外野フェンス
までの距離
対象
グラブ
9インチティーボール
16m
50m以上
小学生低学年
使用可
使用球
塁間
外野フェンス
までの距離
対象
グラブ
11インチティーボール
16m
50m以上
小学生
使用可
使用球
塁間
外野フェンス
までの距離
対象
グラブ
12インチティーボール
16m
50m以上
小学生高学年・中学生・高校生以上女子
使用可
アメリカIBAとISFルール適用の場合
使用球
塁間
外野フェンス
までの距離
対象
グラブ
9インチティーボール
18.29m
60m以上
4~8歳(7月31日までに誕生したもの)
使用可
★使用バットに関しては、SGマークの付いたティーボール用バットの使用を義務付ける
②バッターズサークル
本塁プレートの角を中心として、半径3メートルの円を書く、打者はこのサークル内で打撃を行う。
③バッティングティー
バッティングティーは、本塁プレートの後方50cm以上1m以内の間に置く
2.競技者
① 競技者の数
競技者は10名~15名とする。両チームの選手の数は同数でなければならない。
② 競技者の名称と守備位置
守備者は10名である。10名の守備者は、本塁手(ホームベースマン)と、1塁手(ファーストベースマン)、2塁手(セカンドベースマン)、3塁手(サードベースマン)、第1遊撃手(ファーストショートストップ)、第2遊撃手(セカンドショートストップ)の5人の内野手と、4人の外野手に分かれる。外野手は、左翼手(レフトフィルダー)、左中堅手(レフトセンターフィルダー)、右中堅手(ライトセンターフィルダー)、右翼手(ライトフィルダー)に分かれる、
3.本塁手規程
本塁手は打者が打撃を完了するまでは、バッターズサークルの外にいなければならない。
4.打撃規程
・打者は審判が「プレイ」と宣告した後、バッティングティーに載せたボールを打つ。
・打撃時の軸足の移動は1歩までとする。2歩以上動かしたときは、ワンストライクが加えられる。ツーストライク後からこれを行ったときは、打者は三振である。
・打者がボールを打たないで、ティーだけを打ったときは、空振りでワンストライクが加えられる。ツーストライクからこれを行ったときは、打者は三振である。
・ツーストライク後からのファウルは、打者はアウトである。
・バントやプッシュバントは認められない。ツーストライクからこれを行ったときは、打者はアウトである。
5.走塁規程
・走者は打者が打った後、離塁することができる。走者の離塁が早いときは、走者は離塁アウトになる。
・盗塁はみとめられない。
・スライディングは禁止する。(行うと走塁アウト)。走者の1塁、2塁、3塁での駆け抜けは認められる(走者は塁ベースを駆け抜けた後、進塁の意思がない場合には野手にタッチされてもアウトにならない)
6.試合
試合は原則として次の2通りとする。
(1)2チームが攻撃と守備に分かれ、攻撃側の全打者が打撃を完了した時点で攻守を交代し、規定の回数(イニング)をおえたとき得点の多いチームが勝者となる。
残塁の走者は次回に受け継ぐ。最終回の残塁者はこの限りではない。
(2)2チームが攻撃と守備に分かれ、第3アウトが成立することによって攻守を交代し、規定の回数(イニング)を終えたとき得点の多いチームが勝者となる。攻守の決定は、試合前に行われる審判員のコインのトスによる。
7.正式試合
・正式試合の規定回数は、左記(1)の場合、2回から4階とする。また、(2)の場合、5回から7回とする。正式試合では、大会要項の定めるところにより、試合時間制限を設けることができる。この場合、制限時間は上記の規定回数に優先する。
・試合終了時に同点の場合には、原則として試合を延長して行う。
・球審によって「プレーボール」が宣告されると、試合は開始される。
・フェアボールトファウルボールは、野球やソフトボールと同じであるが、バッターズサークルフェア地域内のライン上で野手がボールに触れたり、ボールが止まったときはフェアボールとする。
・幼児や小学生がプレーするときは、インフィールドフライのルールは適用しない。
・登録された選手は、1試合につき原則として最低1イニング以上プレーするか1度は打席に立たなければならない。
8.得点
・走者がそのかい終了までに、正しく1塁、2塁、3塁、本塁に触れた場合1点が記録される。
9.審判員
・審判員は、2人制で行う。2人は球審と塁審(1塁)に分かれる。
・球審は、打者の正面横に、立つ
・塁審は、1塁手の広報、1塁ファウルラインに立つ
・球審は、3塁と本塁周辺のプレーをジャッジする
・塁審は、1塁と2塁周辺の周辺のプレーをジャッジする
・球審と累進は、打者走者の進塁が一段落しボールが内野手か本塁手に戻ったら「タイム」をかけ、次のプレーに写るように指示する
(その他の試合ルールに関しては、日本ティーボール協会公式規則(日本協会発行)に準拠する。ただし、2018年より小学生全国大会のみ、3人制を採用している)
ティボールゲーム各種
幼児へのティーボールゲーム(どか点三角ベース(12名))
【方法】
<ゲーム>
・1チームは6名とする
・本塁プレートから開く角度は60°とし、本塁と塁ベースの間は3~5m(年少3m、年中4m、年長5m)とする。
・攻撃側の全員が打ち終えたら、攻守交代する。
・塁に走者が残ったときは次の回に受け継ぐ、最終回は残さない。
・回数は2回か3回とする。
・プレーの方法については、後述(幼児・小学1・2年生用どか点ティーボール①)を参照。
<打者>
・打者は、フェア地域の中へ力強く打つ。
<走者>
・打者は打ったら打者走者となり、原則としてバットをコーンまたはフープの中に置き(打者がバットを投げないようにするため)、1塁と3塁方向にひかれている内野サークル(守備・走塁ライン)の外(外周)を全力で走る。
・指導者が守備者からの送球をとって幼児用ティーボールコーンに載せたとき、「ストップ」と声を出させる。その時の走者の位置を確認し、得点を決定する。
・ルールを工夫してプレーする。
例:2週目も走れる(1打席につき6点まで得点できる)
例:体育館でプレーする場合、ボールが壁に直接当たったときもプレーを続行する。
【用具】
幼児用ティーボールコーン4台、ティーボール5個、幼児用ティーボールバット2本、バットを置くためのフラフープ1個。
幼児・小学1・2年生用どか点ティーボール①
★7名対7名のゲーム
[施設]
・幼児の場合、塁間の距離は、5メートルとする。
・小学1・2年生の場合、塁間の距離は、10メートルとする。
・内野と外野ラインは、一塁三塁と本塁二塁を結ぶ対角線が交わる点を起点として一塁ベース後方(三塁ベース後方)1メートルと3メートルの地点から実戦で4分の1円を描く。
・小学1・2年生の場合、一塁ベース後方1メートルと4メートルの地点から実戦で4分の1円を描く。
・ホームラインは、幼児の場合、ダイヤモンド本塁プレートの角から、15メートルのホームラインを描く。(小学1・2年生の場合、30メートル)
〔用具〕
・バッティングコーン5本、11インチオレンジティーボール、フラフープかコーン
小学1・2年生用どか点ティーボール②
(守備6名から9名)
[プレーの方法]
・打者は、思い切りボールを打つ。
・打者は打った後、バットをフラフープかコーンに入れて、一塁ベース、二塁ベース、三塁ベース、本塁コーンの外周を全力で走る。
・7人の守備者は内野ライン上に一塁手、二塁手、遊撃手、三塁手と4人が、外野ライン上には右翼手、中堅手、左翼手の3人が守備する。
・守備者は全員で打球を追い、捕った後は、そのボールを、本塁プレート(コーン)の横にいる指導者に返球する。そのとき、他の守備者がボールを中継してもかまわない。
・指導者は、そのボールを捕り、本塁コーンの上にボールを載せる。
・指導者が、本塁コーンの上にボールを載せたとき、打者走者が一塁を回っていたら1点、二塁なら2点、三塁なら3点、本塁を回っていたら4点、また2周目でいつ塁を回っていたら5点とする。
[指導のポイント]
・打者走者には、塁コーンの外側をしっかり全力で走らせる。
・指導者は、打者走者が一塁ベース(コーン)を回ったら「1点」、二塁ベース(コーン)を回ったら「2点」と大きな声で選手に伝える。
小学生へのティーボール指導
キャッチボール(スロー&キャッチ)
【方法】
・二人一組となり、1人がボールを投げ、他の1人がボールを捕る。
・最初は下手から山なりのボールを5球から10球投げ合う。
・次に上手から山なりのボールを5球から10球投げ合う。
・その後、ワンバウンドやゴロのキャッチボールを行う。
【用具】
11・12インチティーボール(ウレタン製)、インドアティーボール。
【指導のポイント】
・投げる人には、相手が捕れるところにやさしく投げるよう指導する。
・捕る人には、ボールの正面で、両手で捕るよう指導する。
一列キャッチボール(8名)
【方法】
・8名は、Aグループ①②③④と、Bグループ⑤⑥⑦⑧に分かれる。
・AグループとBグループは一列に相対する。
・まず、①が⑤にボールを投げる。
・①はボールを投げた後、⑧の後方に回る。
・次に⑤は②にボールを投げる。
・これを繰り返す。
【用具】
11・12インチティーボール(ウレタン製)、インドアティーボール
【指導のポイント】
・投げる人には、相手の胸をめがけて丁寧にボールを投げるよう指導する。
・暴投したら、全力でボールを取りに行くよう指導する。
・捕る人には、フットワークを上手に使い、正面でボールを捕るよう指導する。
・列の後方に回ったとき、前の人のプレーをよく見て、自分のプレーの参考にさせる。
・②③④、⑥⑦⑧は、次のプレーに備えて足ふみするよう指導する。
ジャストミート(6名)~狙いどおり打とう!~
【方法】
・6名は、攻撃側3名と守備側3名に分かれる。
・攻撃側は、打者、次打者、3番打者兼ボールキーパーとなる。
・守備側は、内野手A、B、Cが一列となる。
・打者と内野手A、B、Cが一列となる。
・打者と内野手の距離は10~15mとする。
・打者は、自分でバッティングティーの上にボールを載せ、内野手Aに向かって打つ
・内野手Aは、打球を捕り、3番打者兼ボールキーパーに送球する。
・攻撃側は、打者→次打者→3番打者兼ボールキーパー→打者の順でローテーションする。
・守備側は、内野手A→B→C→Aの順でプレーする。
・攻撃側の3名がそれぞれ3回打ったら、攻守交代する。
【用具】
バッティングティー又はコーン、11・12インチティーボール(ウレタン製)、インドアティーボール、バット(ウレタン製)
【指導のポイント】
・打者は打つ前に「いくよ」と言い、守備者は「いいよ」と応えるよう指導する。
・打者には、バットに当たる瞬間までボールをよく見て打つよう指導する。
・内野手には、打者の正面に入り、両手で捕るよう指導する。
・内野手には、打球の正面に入り、両手で捕るよう指導する。
・強打者のとき、内野手にはさらに後方で守備するよう指導する。